「データドリブンマーケティング・その3」10の伝統的なマーケティング指標


最初の記事「データ・ドリブン・マーケティング・その1(成果をトラッキングする事の大切さ)」はこちら。

第3章「10の伝統的なマーケティング指標」

第3章では、表題の通り、10つのマーケティング指標を紹介しています。

ただ「こんな指標がありますよ」と紹介いているだけでなく、「こういう目的でマーケティング・キャンペーンを行う場合、効果測定として〇〇の指標を推奨します」と言った感じで紹介しています。

そのマーケティング指標と対になるマーケティング・キャンペーンを簡単にご紹介します。

 

指標1「ブランド認知」

ブランド認知とは、本書では下記の様に紹介されています。

調査対象者にヒントを提示しないで 知っている広告やブランドを思い出してもらい、最初に想起される第一想起は、 購買サイクルにおいてあなたの商品やサービスが検討時の最有力候補としてあげられることを意味する。

ブランド認知=商品やサービスの想起

また、この指標は「認知向上マーケティング」の効果測定の指標として推奨しています。

認知向上はとても大切な事ですが、これを評価する事は簡単ではありません。

なぜなら、認知は、購買サイクルの中で、商品の購入からもっとも遠く離れた上流ステップにあるからです。

その為、「認知向上マーケティング」の効果測定として、「売上」などの指標は向いてないといえます。もちろん、最終的には、売上に繋がる必要はあるのですが。

 

指標2「試乗(お試し)数」

「試乗(お試し)」=購入前の顧客による商品のお試し使用

この指標は、「比較検討・評価マーケティング」の効果測定の指標として推奨しています。

比較検討・評価マーケティングを本書では、

比較検討・評価マーケティングでは、顧客が複数の商品やサービスを比較検討できるようにすることによって 購入意向を高めることを目指す。

とあります。

そして、比較検討・評価マーケティングの効果測定もなかなか難しいのですが、本書では、

将来の売上につながる先行指標を測定する事

と述べています。

本書では、自動車販売を例にして説明していましたが、「自動車を試乗した人は その車を購入する可能性が飛躍的に高まると言われている」事から、「試乗(お試し)」は、売上の先行指標として、かなり有効な指標だといえます。

 

指標3「解約率(離反率)」

解約率(離反率)= 既存顧客の中で商品やサービスの購買を中止する人の割合、年単位で計算

「ロイヤルマーケティング」の効果測定の指標として、「解約率(離反率)」を推奨しています。

ロイヤルマーケティングとは、優良顧客向けのマーケティング・サービスとなり、自動車整備サービス会社が、一定の走行距離を走った顧客に対して、オイル交換を促すDMを送付するなどがあたります。

 

指標4「顧客満足度(CS)」

顧客満足度=友人や同僚にこの商品を進めたいと思いますかという質問を通じて測定される顧客満足度

本書では、「マーケティングの黄金指標」と紹介しており、「ロイヤルマーケティング」の効果測定指標としてのイメージが強いかもしれませんが、いろんなマーケティングの効果測定として重要視する指標であると紹介しています。

 

指標5「オファー応諾率」

オファー応諾率=マーケティング上のオファーに応じる顧客の比率

顧客にDMや割引クーポンを送付した時に、何割の顧客が反応してくれるかと言った、「需要喚起型マーケティング」の効果測定として、使用する事が多いです。

 

指標6~9「4つの財務指標」

利益 =売上高 – 費用
Npv =正味現在価値
Irr =内部収益率
投資回収期間 =マーケティング 施策でかかる 投資額分を、施策による 利益から回収するのに必要な期間

上記4つの財務指標は、「需要喚起型マーケティング」の効果測定として、もっとも適切だと説明しています。

需要喚起マーケティングは、名前の通り、需要を掘り起こすためのマーケティングで、「夏のバーゲン」や「〇〇キャンペーン」と言ったマーケティング・キャンペーンが当てはまります。

 

指標10「顧客生涯価値(CLTV)」

顧客生涯価値=顧客が将来にわたってもたらす価値

本書では、「顧客生涯価値」を語る際、下記の様に述べています。

マーケティングにおいて売上高にしか注意を払わないことはバックミラーだけを見ながら車を運転することに等しい。というのも売上高とは通り過ぎた過去に起こったことを記録する指標だからだ

車を運転するのと同様に求められるのはバランスのとれた測定指標の組み合わせ、それを記載するスコアカードなのだ

マーケティングにおいて将来を見通すための重要指標は顧客生涯価値だ

 

第3章のまとめ「マーケティング指標の運用・管理」

第3章では、10のマーケティング指標と対になるマーケティング・キャンペーンの紹介に多くのページを割いていました。

そして最後に、「スコアカード」と言うツールを使って、これらの指標を運用・管理する事を提案しています。

スコアカードの運用・管理に関しては、以下の様に紹介しています。

有用性の高いスコアカードを作成するためには、まずマーケティング担当者が自分のキャンペーンの目的をしっかりと考え抜き、どのタイプに該当するかを理解する必要がある

キャンペーン設計の初期段階において、どのような効果測定指標をスコアカードに採用し、具体的にどうやって各指標を測定するかについて、チーム内でブレインストーミングをする

キャンペーンのスコアカードには、実際の成果との関連が強い 指標を 5種類から多くても10種類以内に絞る

適切なスコアカードを最初に作成しておくことは、いわば 99%の価値を生み出すために最初に取り組むべき1%の努力だ

やはり、これらの指標を有効に使いこなすためには、マーケティング・キャンペーンの目的に合わせて、指標の組み合わせをカスタマイズする事。

そして、適切に指標を組み合わせる様になる為には、それなりの訓練や経験が必要であると言う事だと思います。

当たり前かもしれませんが、本を読んで分かった気になってはいけないと言う事ですね。

 

以上「データ・ドリブン・マーケティング・その3」10の伝統的なマーケティング指標のご紹介でした。