最初の記事「データ・ドリブン・マーケティング・その1(成果をトラッキングする事の大切さ)」はこちら。
第4章「五つの重要な非財務経営指標」
第4章では、前章で紹介した「10の伝統的なマーケティング指標」の中で、5つの非財務指標について具体的に、さらに突っ込んだ紹介しています。
詳しくは、第3章「10の伝統的なマーケティング指標」の記事をご覧ください。
ブランド認知率=ブランドマーケティング
特にBtoCにおいて「ブランド力」と言うのはとても大切な要素です。
なぜなら、ブランド力がある商品は、その商品の本質的な価値以上に、消費者が高い対価を払ってでも欲しいと思わせる事が出来るからです。
ただ、このブランド力は、数値化、定量化する事が難しい指標です。
本書では、下記の様な手法を上げています。
消費者への質問調査で ノーブランドの類似商品と比べて、当該ブランドの商品に どれだけ高い価格を払っても良いかを尋ねる
このプレミアム価格の数字に 実際の販売数量を掛け合わせた結果が ブランド価値の概算となる
これは、現在の企業のブランド力を数値化する為の1つの方法ですが、著者が取り上げているのはあくまで「ブランド認知率」です。
ブランド認知率を測る必須の二つの質問
商品やサービスのカテゴリについて考えた時に、最初に思いつく企業または商品名を教えてください
商品やサービスのカテゴリにおいて、他に聞きたいことのある企業をまたは商品名を教えてください
ブランド認知率の測定は、電話インタビューや街頭アンケートなどを使ってデータ収集する事で可能です。
試乗(お試し)=比較検討マーケティング
第3章でもご紹介しましたが、試乗(お試し)数は、比較検討マーケティングの効果測定、売上の有効な先行指標となります。
このマーケティング・キャンペーンを正確にトラッキングするには、どの顧客がお試しを体験して、その後、実際に購入したかを把握する必要があります。
そうすれば、試乗(お試し)した顧客の内、〇%の人が購入すると言う統計が取れます。
これが分かれば、かなり有効な売り上げの先行指標となり、売上を上げる為に、試乗(お試し)数を増やそうと言う施策も打つことが出来ます。
また、試乗(お試し)した顧客が購入する可能性(コンバージョン率)を高める事も、売上アップにつながります。
お試しの例
- 車の試乗
- 無料サンプルの取り寄せ
- 試験導入
- 試着
- 視聴etc
解約( 離反)率=ロイヤルマーケティング
売上を上げる為には、新規顧客獲得は必要ですが、収益向上をする為には、既存顧客のロイヤルティを上げる事の方が大切だと言う事は昔から言われています。
解約率(離反率)は、ロイヤルマーケティング(既存顧客のロイヤルティの向上)の効果測定の指標として最適です。
本書では、高級車ブランド「レクサス」を例に出して紹介していますが、
「レクサス」は、顧客に対して、「代車の無償提供」、「無料の洗車サービス」、「レクサスライフスタイル誌の定期送付」などを行い、ロイヤルティを高めています。
この例を見て、「ロイヤルティを高めるのは大変だ」、「コストが掛かる」と思うかもしれません。
ただ、「何をするか」と言う事も大切ですが、もっと大切なのは、「今まさに離れていきそうな顧客に対して接点を持つ」、そして「出来るだけ早いタイミングで接点を持つ」、「なんども接点を持つ」と言う事だと思います。
解約( 離反)率の測定方法
解約(離反)率=既存顧客の内 一定期間の間に自社の商品やサービスの勾配を中止する顧客の比率
まず、ロイヤルマーケティングを始めるにあたり、最初に、既存顧客の購買履歴をもとに、現状の解約(離反)率を把握する事です。
そして、自社に大きな利益をもたらす優良顧客に対するロイヤルマーケティングのキャンペーンを企画して、小規模な実験を通じて、改善を繰り返していく事が有効です。
顧客満足度
著者は、顧客満足度はもっとも大切な黄金指標と評しています。
顧客満足度の高い顧客は、繰り返し商品やサービスを使ってくれるだけでなく、自分の友人や知人などにも推奨してくれる点が大きいです。
熱狂的なファンを沢山もっているブランドや会社は、新規顧客獲得のマーケティングにあまり予算を割かなくても、自然に増えていく事になります。
そして、信頼する人からの推奨を受けた方もまた、その商品を購入してくれる可能性も高く成ります。
顧客満足度の測定方法
その顧客満足度を測る方法としては、アンケートやインタビューなどで、以下の質問を投げかける事だと解説しています。
あなたは友人や同僚に製品、サービス、企業名を どれくらい進めたいと思いますか?
顧客満足度を測る為の質問として「この商品・サービスにどの程度満足していますか?」と言うものもあります。上記の質問と合わせて聞くのも良いかもしれません。
オファー応諾率=キャンペーンの運用効率評価
オファー応諾率は、マーケティング・キャンペーンの運用効率を測る内部指標です。
これが高ければ、キャンペーンは効率的に回っており、費用対効果の高いキャンペーンであると言えます。
そして、オファー応諾率を上げれば、必然的に、相対的なマーケティングコスト(顧客獲得単価など)が下がる事になります。
オファー応諾率の測定方法
オファー応諾率=オファー応諾数/オファー送付数
第4章のまとめ
冒頭でも紹介しましたが、第4章は、第3章で紹介していた指標の内、「非財務系指標」をより具体的に説明している章です。
記事内ではほとんど紹介してませんが、多くの事例を基に分かりやすく紹介しており、大変為になる章です。
この章まで読んで思うのは、紹介されている事例がどれも大企業のものが多いので、中小企業に「データドリブン・マーケティング」を当てはめようと思うと、中小企業向けにカスタマイズする必要があると言う事です。
以上「データドリブンマーケティング・その4」五つの重要な非財務経営指標のご紹介でした、