最初の記事「データ・ドリブン・マーケティング・その1(成果をトラッキングする事の大切さ)」はこちら。
第7章「クイックからバリューへ」
第7章では、「インターネットマーケター必須の5指標」と言う見出しで、インターネットマーケティングにおける重要な指標を紹介しています。
その中でも、主にリスティング広告関連の指標を中心とした内容になっている為、リスティング広告に多くの予算を割いている企業、Webマーケターにとっては、より価値のある内容となっています。
お金を払って広告を出稿している以上、その費用対効果はしっかり計測しておく必要があります。また、その効果測定は、比較的容易に計測する事が可能です。
リスティング広告を最適化する重要指標
ペイドメディア(リスティング広告やディスプレイ広告などのお金を払って表示してもらう広告の総称)を利用する場合、その効果を計測する為に多くの指標があります。
本書では、重要指標として、以下の3つを上げています。
CPC=リスティング広告またディスプレイ広告におけるクリック単価
(トランザクション)コンバージョン率=広告をクリックしてウェブサイトに遷移したユーザーが商品を購入した割合
広告費用対効果=収益 ÷ 費用
リスティング広告を最適化する3つのステップ
本書では、上記の重要指標を使い、最適化するステップを紹介しています。
1.費用対効果の高い媒体を特定する
Google yahoo bing 又は目的別の検索エンジンなどからの費用対効果高い媒体を特定する2.媒体内で改善の必要なキャンペーンを特定する
3.KPI インパクトを計算する
キャンペーンの変更が売上が広告費用対効果などの KPI に与える影響計算する
ステップ1.費用対効果の高い媒体を特定する
Google、yahoo、bingなど検索エンジン単位で費用対効果を計算
その中で、クリック単価が高くて応諾率が低い広告媒体は 打ち切りを検討します。
逆に、 クリック単価が低くて応諾率高い広告媒体は、予算を追加することを検討する事で、費用対効果を最大限にします。
ステップ2.媒体内で改善の必要なキャンペーンを特定する
クリック単価、クリック率、コンバージョン率の3つの重要な指標を基準に、広告キャンペーンの評価を行います。
クリック率が低いキャンペーンは、広告のキャッチコピーを調整したり、コンバージョン率が低いキャンペーンは、ランディングページを改善する必要があります。
クリック単価の高いキャンペーンは、指定したキーワードがランディングページの内容と合致しているか?などを考慮する必要があります。
ステップ3.KPI インパクトを計算する
リスティング広告を最適化する為の最も重要なのはステップ3 KPI インパクトの計算です。
収益と広告費用対効果を計算することにより、実際にクリックが生み出す価値を計算でき、それにより、追加の予算を投入すると、どれくらいの成果が出るかを把握する事が可能になります。
リスティング広告の効果測定の問題点
リスティング広告の効果測定をする際に問題となるが、最後におこなったクリックのみが売上に貢献したことになってしまう点です。
多くのユーザーは、実際に何度も検索をして、何度も訪問して、最終的に購入に至ります。
その為、そのクリックでは購入にいたらなくても、その後で購入に至った場合、このクリックも売り上げに貢献したとみなすべきです。
このクリックの事をアシストクリックと呼ばれ、アトリビューション分析により、ある程度評価する事が出来ます。
ウェブサイトの出来を評価する重要指標「直帰率」
直帰率=滞在5秒未満で離脱してしまうユーザーの割合
本書では、直帰率を上記の様に定義していますが、明確な基準はなく、ウェブサイトにより適した秒数に変更する事が良いと思います。
Googleアナリティクを使用している場合、通常の設定では、ランディングページに何秒滞在しようが、他のページに遷移しないで離脱すると、直帰とカウントされます。
Googleタグマネージャーなどと併用して、そのページに20秒滞在した場合、イベントとしてカウントして直帰として扱わない設定をすると、直帰率の定義をカスタマイズ出来ます。
とは言え、サイトの目的や、ページの目的によって、直帰率が高い事が悪い場合じゃなケースもあります。
また、サイトの評価をする指標として、「平均ページビュー」「滞在時間」などがありますが、本書では、メディアサイト以外は役に立たないケースが多いと述べています。
ディスプレイ広告 のインパクト
最近のディスプレイ広告のクリック率はかなり低い水準にあります。ディスプレイ広告のクリック率が低い要因としては、ユーザーからして、あからさまな広告だと認識できるからだと思います。
この結果を見ると、従来のインプレッション重視の ディスプレイ広告は、全く効果がないと判断してしまいそうですが、実際違うようです。
本書では、「ディスプレイ広告見ているユーザーと見たことないユーザー」における調査結果を紹介しています。
広告主のウェブサイトの訪問数が4週間のうち少なくとも46%増加
広告主のブランド名を使用した検索を行うユーザーが少なくとも38%増加
ディスプレイ広告を出したいブランドの オンライン売上が平均で27%増加
広告主の実店舗における消費者の購入意向が17%増加
この結果から、ディスプレイ広告はクリックされなくとも、閲覧されるだけでユーザーの行動に大きな影響を与えると言う事です。
ソーシャルメディアにおけるターゲティング・ディスプレイ広告
本書によると、2009年の段階ではソーシャルメディア上のディスプレイ広告の平均クリック率は、0.03%と非常に低い数字だそうです。
そもそもソーシャルメディアは、ユーザー同士の交流の場なので、売り込み型の広告を出されても、反応する事はあまりないでしょう。
とは言え、前章のディスプレイ広告のインパクトの事を踏まえると、実はクリック率と言う数字では見えないところでユーザーの行動に影響を与えているかもしれません。
データマイニングによるターゲティング広告
ソーシャルメディア上でのディスプレイ広告は、まだまだ発展途上だと思います。
本書では、ユーザーの投稿を分析し、投稿された内容を基に、高い精度でターゲティングを行い 広告を表示する事で、クリック率も含め、その後のユーザーに大きな影響を与える可能性が高いと述べています。
本書では下記の様な事を提示しています。
過去の投稿を通じ、あるユーザーが環境保護に熱心で、ゴルフ好きなことが判明したとしよう。
そのユーザーが「新しい車を買うぞ」と投稿した場合、トヨタのプリウスの広告表示させる。
その場合、トランクはゴルフバックを二つ収納できるとスペースがあることを訴求するとなお良い。
口コミ増幅係数でソーシャルメディアの効果測定
本書では、ソーシャルメディアマーケティングを行った時の効果測定の重要指標として「口コミ増幅係数 」記を上げています。
インターネット上の口コミ増幅係数 =
(ダイレクトクリックの数 + 友人へのシェアから発生したクリックの数 ) ÷ ダイレクトクリックの数ダイレクトクリックは、広告が直接クリックされた数で、企業サイト、ディスプレイ広告、ブログ などあらゆるマーケティングチャネルで生まれたクリックである
上記の計算式を紹介していますが、「友人へのシェアから発生したクリック数」を測定する事がとても難しい様に感じます。
その為、ソーシャルメディアマーケティングが上手く行ったかどうかを測る指標としては、別の指標を使った方が良いのではと思いました。
ソーシャルメディアマーケティングの大事な3ステップ
本書では、ソーシャルメディアを使用したマーケティングキャンペーンを行う上で、重要な3ステップを紹介していました。
ステップ1、 テレビ新聞雑誌インターネット 看板広告などの有料広告を利用し、ユーザーがキャンペーン関連の facebook ページや携帯メールを利用するように促す
ステップ2.無料の音楽ダウンロード 動画ライブコンテンツなど ユーザーが使用できるコンテンツを提供する
ステップ3.携帯メールの数、facebook の友達申請数、口コミによるシェア数を通じて結果を測定する
ソーシャルメディアマーケティングを成功させる為には、リスティング広告などのペイドメディアも併用する事で、相乗効果を生みだす事が可能となります。
とは言え、ソーシャルメディアマーケティングをする上でもっとも大事なのは「シェアされる面白いコンテンツ」「思わずシェアしたくなるコンテンツ」を用意する事だと思います。
そして、コンテンツのシェアを促進する(シェアされやすい)設計をする事が大事です。
第7章「クイックからバリューへ」のまとめ
第7章は、私の本業であるインターネットマーケティングの指標の紹介だった為、多くの内容がすんなり理解出来ましたし、真新しい内容はあまりなかったと言えます。
また、この章で紹介されていた指標は、リスティング広告関連の指標が中心となっています。
私の様にSEO対策など自然検索からの流入をメインとしているWebマーケターにとっては、コンテンツマーケティング、インターバウンドマーケティングの効果想定の指標などに関心が高い為、少し期待外れの部分もありました。
最後のソーシャルメディアマーケティングの指標に関しては、「シェアから発生したクリックの数」を簡単に測定できれば使えますが、測定の難易度は高いと感じます。
その為、もっと簡単に測定できる現実的で有効な指標を自分たちで見つけなければと思いました。
以上「データドリブンマーケティング・その7」クイックからバリューへのご紹介でした、