「データドリブンマーケティング・その9」まさにこれが必要だったんだ


最初の記事「データ・ドリブン・マーケティング・その1(成果をトラッキングする事の大切さ)」はこちら。

第9章「まさにこれが必要だったんだ」

ユーザーのニーズが高まっているときに、ニーズに合った商品の提案を行う事で、「まさにこれが必要だったんだ」という体験をしてもらえれば、応諾率は劇的に高くなります。

これを実現するには、適切なタイミングで、適切なターゲット顧客に、適切な商品を提案する為のデータ分析が必要になります。

第9章では、それを実現する為のアプローチとして、「傾向分析モデル」、「アソシエーション分析」、「決定木分析」の3つの分析手法を紹介しています。

 

解析マーケティング1: 傾向分析モデル

この傾向分析モデルの詳細に関しては、あまり本書では詳しく解説していない為、詳しく知りたい方は、その道の参考書で勉強する事をお勧めします。

概要は、傾向分析モデルをする事で、ある商品を購入した顧客は、その後、どんな商品を購入する傾向があるかという事を点数(スコア)化出来ます。

それをする事で、ある商品を購入した顧客に対して、一番点数(スコア)の高い商品情報を記載したメールを、一定の間隔を空けて送る事で、次の購買を促す可能性を高めることが出来ます。

 

解析マーケティング2: アソシエーション分析

アソシエーション分析では クラスター分析と呼ばれる手法が多様されており、各データの持つ性質の差(距離)を捉え、類似性を表現する手法です。詳しくは、専門書で調べてみてください。

このアソシエーション分析を行う事で、「ある商品を購入した人は、こんな商品も同時に購入する傾向にある」と言う事が把握できます。

ECサイト大手のAMAZONやいろんなECサイトで見かける「この商品を購入した人は、〇〇も購入しています」というあれです。

この分析結果を上手く活用して、効率的な「クロスセル」を実現する事が可能になります。

 

解析マーケティング3: 決定木分析

決定木分析は、クラスター分析と ニューラルネットワークと並び、データマイニングの三種の神器の一つと言われているそうです。

決定木分析は、データのかたまりを、ある条件を基に、2つのグループに分けます。振り分けたグループに対して、新たな条件を基に、2つのグループに分ける。これらを繰り返すことで、「枝」「葉」で構成される木のような構造になります。

それぞれ、振り分けられたグループ単位で、いくつかの重要指標を比較する事で、気付きを得る事が出来ます。

例えば、全部の顧客データを「クレジット決済」と「それ以外」のグループに分けた後、「売上」「購入点数」「購入頻度」と言った指標で比較するという方法です。

例えば、クレジット決済のグループの方が、「購入点数」が20%高いという結果が出た場合、どうしてそれだけの差が出たかを考え、仮説を立てて、対策を考えていく形になります。

ただ、考えても理由が分からない場合、「クレジット決済」のグループを、また違う条件でグループ化してみて、そこで、指標を比較する事で、新たな発見があるかもしれません。

 

タイミングがすべて

本書では、いくつかの企業の事例を紹介しつつ、タイミングよくオファー(提案)をする事で、解約率を低下したり、ビジネスチャンスを得る事が出来ると説明しています。

「まさにこれが必要だったんだ」という体験をしてもらう為には、「適切なタイミング」、「適切なターゲット顧客」、「適切な商品(情報)」の3つをすべて満たす必要があります。

この中で、「適切のタイミング」と言うのが一番難しい様に思います。

「適切なターゲット」や「適切な商品(情報)」は、ある程度分析に時間をかければ導き出せるでしょう。

ただ、このタイミングは、早くても遅くても効果が出ません。ジャストインタイムである必要があります。

これを実現する為の方法として、常に監視(データとにらめっこ)する事で、フラグが立った時に、直ぐにアクションを起こせるかもしれません。

その為には、常に監視する為のコスト(人を雇う、システムを構築する)を掛ける必要があり、効果に見合うかどうかトライアルしてから、導入する事になるでしょう。

 

第9章「まさにこれが必要だったんだ」のまとめ

いろんな分析手法が登場して、マーケターの中には、難しくて思考停止状態になる場合もあります。

これらの分析手法は、大量のデータを所有して、それを分析できる人材及びツール(インフラ)などを所持している大手企業などでは、既に一般的に利用されているかと思います。

適切なタイミングで、適切なターゲット顧客に、適切な商品を提案する事出来れば、どんなに良い事だろうと思ってはいますが、中小企業にはとてもハードルの高い事の様に思います。

その為、中小企業でも実現できるような安価で、高品質なサービスが登場する事を願うばかりです。(既にあるかもしれませんが)

 

以上「データドリブンマーケティング・その9」まさにこれが必要だったんだのご紹介でした。