もし中日ドラゴンズのオーナーから観客動員数増加の為のコンサルを頼まれたらvol2


前回に引き続き、「もし中日ドラゴンズのオーナーから観客動員数増加の為のコンサルを頼まれたら」という前提で、私なりのマーケティング、ブランディングの考えを綴りたいと思います。

第一弾は、「もし中日ドラゴンズのオーナーから観客動員数増加の為のコンサルを頼まれたらvol1」をご覧ください。

 

仮想プロジェクトの前提のお話し

KGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)や、ROI、投資回収期間などは、その会社の業績や現状、予算などを総合的に加味して、決めていく事になります。

それらの情報は全くないため、全て仮説で決めていきたいと思います。一部、公になっている情報は、リアルな情報を使いたいと思います。

仮想プロジェクトの目的

観客動員数を増やして、試合の入場料収入を増やし球団の売上アップ

これを選んだ根拠が、球団の売上の構成比の中で、「試合の入場料収入」がもっとも大きく、さらに、今後も伸びしろがあるという判断とします。(仮説)

仮想ターゲット

下位顧客(普通以下ファン)を中位顧客(良いファン)層に育成して、中位顧客(良いファン)層の人数を増やす。

見込みファンを良いファンにする間にでは、かなりの時間とお金がかかる為、ある程度短い時間と予算で実現可能なファンにターゲットを絞ります。

最終目標値の設定

KGIを観客動員数とします。そして、目標値を1試合平均「31,000人」とします。

ちなみに、2017年の入場者数は、1試合平均「27,927人」になっている為、約1割アップと言う数字になっています。

参考ソース「2017年 セ・パ公式戦 入場者数

重要評価指標の設定

KPIは、「ファンクラブ会員数」、「オファー応諾率(オファーに対する反応率)」、「ファンクラブ会員のチケットリピート購入回数」

「ファンクラブ会員数」:15%アップ

「オファー応諾率(オファーに対する反応率)」:50%アップ

「ファンクラブ会員のチケットリピート購入回数」:50%アップ

上記の数字は、全て仮ですが、上記の数字が8割程度クリアできたら、KGIが達成となる様な数値を設定しています。

本来は、現状の数値を分析して、しっかりとした根拠を元に、数値を設定してあげる必要があります。

例えば、現状の入場者数の半分は、ファンクラブ会員がチケットを購入しているのだったら、ファンクラブ会員を2割増やせば、単純に、1割の入場者数増を見込めると言った感じです。

目標達成期間

約3年(2020年のシーズに達成)

投資回収期間

3年(仮の値)=プロジェクトを開始して、約3年後に、投資した費用が回収できる

マーケティング投資収益率(ROMI)

50%(仮の値)

マーケティング投資収益率は、一般的な投資収益率(ROI)とは違い、マーケティング投資額に対して、どれだけ利益が出たかを計算します。

マーケティング投資収益率(50%)に掛けられるプロモーション費用(運用)

1年72試合、1試合平均:約3000人増加、平均チケット価格:¥2,000とした場合、増加する売上は、4億3.2千万円。

粗利率は分かりませんが、仮に7割として、原価は約1.32億とします。そうすると、投資収益率50%の場合に掛けられるプロモーション費用(X)の計算式は以下になります。 

50% = (4.32億 – 約1.32億 – X ))÷ X × 100

X = 2億 プロモーション費用が使える計算になります。

効果測定及びプロジェクトの軌道修正

プロモーション活動を開始後、1カ月単位で、3つのKPIの指標をチェック

全ての指標の改善に対して、2つ以上のプロモーション活動を用意する。

効果がマイナスになるような指標があった場合、1度の改善を行い、1カ月間計測後、なおも改善が見られない様なら、もう1パターンのプロモーションに切り替える。

もし、予備で用意しておいたプロモーションも、同じような結果になった場合は、その指標改善のプロモーションは中止する。

そこで中止になって浮いた予算を、他の効果が出ている方に振り分ける。

 

マーケティング、プロモーション活動のプラン作成

ファンの事をもっと知る為の調査

マーケティングでは、3C分析(顧客、自社、競合)を良く行いますが、まず、ファンの事をしっかり知る必要があります。

アンケートを取ったり、行動履歴から分析するなどありますが、まずは、ファンの声を聞く為、グループインタビューを行いたいと思います。

グループインタビューの調査方法

それぞれ、「熱狂的なファン層」の中から数名、「良いファン層」の中から数名、「普通以下のファン層」の中から数名と言った感じで、ファン層別に集めてみます。

「熱狂的なファン層」は、年間チケットを買ったファンや、ファンクラブの最上位のランクの人、「良いファン」はファンクラブの人、「普通以下のファン」の人は、名古屋の町中で声を掛けて、テレビで見るけど、球場に足を運ばない人というグループに分けます。

グループインタビューで聞く内容

全ての層に聞く内容として、「中日ドラゴンズファンを応援する切っ掛けになった理由」「現在の中日ドラゴンズの印象について」、「中日ドラゴンズには、どんなチームになってもらいたいか?」、「中日ドラゴンズに望む事」、「今の中日ドラゴンズの良いところ」、「球場観戦で求める事」、「好きな選手」etc

「熱狂的なファン」は、「どんな時に球場観戦するか?」「球場観戦したいと思うタイミングは?」「いつごろから熱狂的なファンになったか?」「何がきっかけでそうなったか?」

「良いファン」は、「どんな時に球場観戦するか?」「球場観戦したいと思うタイミングは?」「もっと球場に足を運ぶようになるには?」、「球場観戦を妨げる事」etc

「普通以下のファン」は、「球場観戦したいと思った事は?」「球場まで行きたいと思う様になるには?」、「球場観戦を妨げる事」etc

 

競合の球団の調査

やはり競合球団が、ファンの獲得や育成に、どんな取り組みを行っているかという事は調査する必要があります。

最近、観客動員数が増加傾向の横浜Denaベースターズや広島カープは、球場の施設を改修して、球場で野球観戦+新しい体験などが出来る様にしています。

ナゴヤドームの場合、中日ドラゴンズとは別会社の為、施設を改修と言う手段は出来ませんが、何か「新しい野球観戦体験」を提供する事は、差別化としても必要です。

ただ、この取り組みは、中日ドラゴンズファンを育てるものとは違うかもしれませんが、ここを入り口にして、ファンになってくれる可能性もあるかもしれません。

 

3C分析の結果よりプランを練る

3つのファン層に対してグループインタビューを行ったとして、それなりに有益な情報が得られたとします。

私自身は、「普通以下のファン」なので、正直「熱狂的なファン」や「良いファン」の感情(マインド)は分かりませんが、かってに「普通以下ファン」の代表として、いくつか意見を述べたいと思います。

 

普通以下ファンの声

中日ドラゴンズファンを応援する切っ掛けになった理由

愛知県出身で地元の球団が中日ドラゴンズであった事。父親がドラゴンズファンだったから。

現在の中日ドラゴンズの印象について

あまり面白みのないチーム。地味で華のないチーム。

中日ドラゴンズには、どんなチームになってもらいたいか?

基本はAクラスにいて、常に優勝争いをしているチーム。勝負強いチーム。粘り強いチーム。華のあるチーム

中日ドラゴンズに望む事

特になし。

今の中日ドラゴンズの良いところ

あまりない。

球場観戦で求める事

日常では味わえないエキサイティングな体験。

好きな選手

今はいない。昔は「立浪選手」「福留選手」など

球場観戦したいと思った事は?

たまに、非現実的な体験をしたい。仕事や日常でのストレスを発散をしたい。球場で観戦しているんだという優越感に浸りたい。

球場まで行きたいと思う様になるには?

球場に行けば、常に期待以上の体験が得られるという保証。

好きなアーティストのコンサートなどは、行けば、自分の好きな人が見れて、好きな生歌が効けるという期待を満たしてくれる。

ただ、野球の場合、試合展開が盛り上がらない場合、まったく期待を満たしてくれない。仮に野球の試合内容や結果が良くなくても、他で補ってくれるサービスがあると嬉しい。

生でプレイを見たいと思る選手がいる事。

球場観戦を妨げる事

家からそこそこ遠い。車で行くと駐車場が空いていない。もしくは料金が高い。公共交通機関で行く場合、帰りがすごい混む。

チケットを購入する事が面倒くさい。チケット代そのものの料金。

球場内の飲み物や食べ物が高い。おまけに美味しくない。

野球観戦以外のエンターテインメントが他に沢山ある事。

 

もしコンサルを頼まれたらvol2のまとめ

この会では、プロジェクトの前提条件の設定と、詳細なプランを作成する前の事前調査に関する事を紹介しました。

次の流れとしては、グループインタビューを通して、ファンの声に耳を傾け、得られた情報をもとに、ファンの生態や考え、ニーズをまとめていくステップになります。

それはまた次回の記事でご紹介しようと思います。

続きは「もし中日ドラゴンズのオーナーからコンサルを頼まれたらvol3」をご覧ください。

 

以上「もし中日ドラゴンズのオーナーから観客動員数増加の為のコンサルを頼まれたらvol2」のご紹介でした。