もし中日ドラゴンズのオーナーから観客動員数増加の為のコンサルを頼まれたらvol3


前回に引き続き、「もし中日ドラゴンズのオーナーから観客動員数増加の為のコンサルを頼まれたら」という前提、私なりのマーケティング、ブランディングの考えを綴りたいと思います。

過去のログは、下記をご覧ください。

第一弾「もし中日ドラゴンズのオーナーから観客動員数増加の為のコンサルを頼まれたらvol1

第二弾「もし中日ドラゴンズのオーナーから観客動員数増加の為のコンサルを頼まれたらvol2

 

グループインタビューでのファンの声をもとに情報を整理

今回は、実際に「良いファン」の生の声を調べたわけでは無いので、下記の様なインターネット上の声を参考にしたいと思います。

中日の観客動員数は減少も視聴率はアップ|要因はナゴヤドームか?

また、今回のプロジェクトでは、ファンが求めている「強いチーム」という部分は、マーケティングとはちょっと関係ないので外します。

さらに、「人気のある選手」がいるという部分も大事ですが、選手獲得の為に、ものすごい金額もかかる為、除外します。

【2018年2月補足】

現実の話ですが、中日ドラゴンズは、2017年に松坂選手を格安で獲得しました。それが功を奏して、2018年のキャンプでは、大勢の報道陣が詰めかけ、注目度は一気にアップ。

そしてグッズの売り上げも大幅アップで、数カ月で、グッズの売上が松坂選手の年俸を越えたそうです。(下記記事参照)

【中日】松坂グッズの売り上げ、もう年俸1500万円を超えた

やはり、人気選手の獲得による効果は絶大ですね。通常、人気選手の獲得となると「〇億」という金額が動きますが、1,500万という、新人レベルの金額で獲得出来たのは、超お買い得だったといえます。

後は、このフィーバーが開幕以降も続き、観客動員数にどれだけ影響するかは注意深く見守っていきたいと思います。

 

商品力に関しての話

マーケティングにどれだけ力を入れても商品が良くなければ売れない

私が思うマーケティングの役割は、消費者に商品やサービスの本来の良さ(価値)を伝える事だと思っています。

その為、どんなに完璧にマーケティングを行っても、売れない商品は売れません。

仮に、マーケティングで、ある商品を、本来の価値以上に見せて売れたとしても、それは消費者を裏切る行為に他なりません。

 

マーケティングが商品にどれだけ関与するか

今回の場合、商品は「中日ドラゴンズ」というチームそのものです。

現在は、商品の企画からマーケティングの部署が一緒になって、商品開発を行っている会社もあります。

ネットの意見を見ていると、「チームが強い事」「試合展開が面白い事」「有名な選手がいること」などは、球場に足を運びたくなる大きな要因だと思います。

その為、本来、マーケティング(ブランディング)は、「商品強化=チームの強化」と一緒に進めていかないと、あまり意味が無いかもしれません。

 

それでも今回は商品力の改善は除外する

マーケティングと商品は切っても切れない関係ですが、今回は泣く泣く除外する事にします。

その理由は、商品となるチーム強化、改革は、1年、2年というスパンではなく、もっと長い期間がかかるという事が1つ。そして、莫大なお金も必要となるケースがあるからです。

恐らく、5年以上のスパンと十億単位の予算規模でのプロジェクトの時に、商品とマーケティングを一体で、変えていく事になるでしょう。

 

ファンに関する話

どんな状況でも応援してくれるのがファン?

私自身がそうですが、中日ドラゴンズの優勝争い、もしくはプレーオフの可能性がなくなった場合、TV中継すら見なくなります。

ちなみに、私の父は、チームの成績が悪くても、予定がない時以外は、ほぼすべての試合を見ています。父はもう定年退職して、時間にも余裕がある為、現役の私とは、時間の価値が違いますが、定職についている時もそうでした。

私なんか、「消化試合なんか見ても時間の無駄じゃないか」と思いますが、そういう意味では、父は真のファンかもしれません。

チームの調子がずっと絶好調な事は無いため、出来れば、父の様なファンを育てる事が必要であるのは言うまでもありません。

 

一般の商品に付いているファンで考える

野球のチームを、一般の物や商品と一緒にするのは無理があるかもしれません。

ただ、一般的に、会社や商品にも「ファン」と言うものはいるわけで、そのファンは何でファンであり続けているかというと、「この商品は常に期待を満たしてくれる」「信頼に応えてくれる」というのを、長い間満たし続けているからです。

 

どんな時にファンが離れるか?

もし、ある会社に不祥事やスキャンダルが起きた場合、それが商品の品質に関係ない事だったら、ファンは多少減るかもしれませんが、恐らく、そこまで減らないのではと思います。

それが、不祥事でなくても、商品原価(人件費、材料費)が上がった為、会社の方針で、今の値段を維持する為に品質を落す事を決断した場合、大量のファンが離れる事が予想できます。

 

期待を裏切ればファンは去っていく

要するに、その商品の品質に満足していたファンを裏切る形になります。(顧客の事を分かっている会社は、おそらく、値段を上げてでも、品質維持という決断を下すと思いますが。)

そんな時、ファンは大量に離れていく事になるでしょう。

 

会社側の間違った考えは捨て去る

ある会社の幹部が、「ファンなら苦しい時こそ支えて欲しい」「苦しい時に支えてくれるのがファンだ」という考えを持っていたら、それは少し傲慢の様に思います。

もし、そんな傲慢な考え方を持っている人が会社側にいたら、一刻も早く、その考え方を改める方が良いと思います。

なぜなら、その考え方や言葉は、商品を提供する側ではなく、ファン側のみ言う権利があるからです。ファン側が「ファンならチームが苦しい時こそ支えるべきだ」というのは分かります。

 

チームが弱くても見続ける父親

何度も紹介していますが、父はチームが不調な時も、欠かさず試合をみています。

私はいつも疑問に感じますが、おそらく、私とは「中日ドラゴンズ」に求めているもの(期待しているものが)が違うのだと思います。

私が求めるものは、中日ドラゴンズが勝つことで、地元に住んでいる私も少しだけ勝っている様な気分です。要は優越感です。

しかし父は違います。推測になってしまいますが、父は、中日ドラゴンズを主観的に所有している気持ちでいると思います。

要するに父は、中日ドラゴンズを「自分の応援している球団」ではなく「自分の球団」と思っているのです。

 

チームを自分事化してもらう事が出来れば離れにくくなる

私もそうですが、あまり熱心ではないファンからすれば、「中日ドラゴンズ」は「地元にある野球チーム」という事で、いわば「他人事」です。

だから、チームの成績が悪く成ったり、魅力がなければ離れていきます。

それを、少しでも「自分も関わっている=自分事」に変われば、少しチームの調子が悪くても、Bクラス入りが確定したとしても、試合を見続ける可能性が高まるかもしれません。

 

どうすれば、自分事化してもらえるだろうか?

やはり、主観的にチームを所有している実感を与える事だと思います。

例えば、ファン倶楽部に入ると、チケットが若干安く手に入るだけでなく、チームの方針にも口を出せる。チームの成績が良くなった場合、配当の様な形で、何か景品がもらえる。

抽選で、オーナーや球団幹部じゃなければ見れないVIP席が当たる。もしくは、順番で回ってくるなど。

後は、監督や選手の年俸に若干口出しできる。(例.年俸を上げても良い選手。下げるべき選手など)

 

仮説を裏付ける調査をする

ここまでである程度の事がまとまりました。それを一つのプランにするのですが、これはあくまで「仮説」にすぎないので、実際にファンの声を聞いて、実際に行けるかどうかを確認します。

ファンクラブメンバーズの特典

  • ポイント付与
  • スーパーVIP席の抽選ご招待
  • 抽選でナゴヤドームまでのリムジンでの送り迎え
  • 監督、選手へ評価権(選挙権の様なもの)
  • チケット割引(有料会員)
  • チームの成績と入場者数による景品(有料会員)etc

「普通以下のファン」に、これらのメンバーズ特典を見せて、ファンクラブのメンバーに入りたいかどうかを、実際の聞いてみると良いでしょう。

これにより、仮説が正しいかどうかが分かります。仮説が正しければ、いよいよ詳細なプランを練る事になります。

 

仮説が間違っていれば

ファンの生の声を聞いた後、そこまで反応が良くなければ、また計画の練り直しになります。

もう一度、以前調査したファンの声を眺めて、新たな仮説を立てる事を繰り返します。

事前にプロジェクトを開始する前に、仮説が正しいか間違っているかが分かる事は、とても大きな事です。

なぜなら、実際にプロジェクトが動き出すと、何千万、何億というお金が動く為、効果のない事に、大量のお金と時間を浪費しなくても済むからです。

 

もしコンサルを頼まれたらvol3のまとめ

さて、今回はファンの生の声をもとに、ファンの生態、感情を把握して、それを育成してく為の仮説を立てて、調査するまでの流れをご紹介しました。

次回は、今回立てた仮説が正しかったとして、それを実行する為のプランを作成していきたいと思います。

最後の章は「もし中日ドラゴンズのオーナーからコンサルを頼まれたらvol4」をご覧ください。

 

以上「もし中日ドラゴンズのオーナーから観客動員数増加の為のコンサルを頼まれたらvol3」のご紹介でした。