高速バス「WILLER EXPRESS」躍進の戦略・ビジネスモデルの紹介


今回は、2018年3月29日に「カンブリア宮殿」で紹介されていた会社「WILLER EXPRESS」のビジネスモデルや戦略がとても勉強になったので、ちょこっとご紹介したいと思います。

 

WILLER EXPRESSの基本情報

創業:1994年
従業員:800人
社長:村瀬 茂高氏
売上:約180億(2016年)
事業内容:高速バス、一部鉄道事業

 

WILLER EXPRESSの基本戦略

WILLER EXPRESSの基本戦略として、「女性に支持される」というのがあります。

もともと、夜行バスは、狭くて、暗くて、不安という声ががあった為、「女性が安心して乗れるバス」を目指して、いろんな対策を取ってきました。

女性に支持される対策

  • 女性の隣は必ず女性が座る様に座席決めをした。
  • 前方に入口がある為、温度が下がりやすい前方は暑がりの男性、後方に寒がり女性が配置するような座席決めロジックを採用。
  • 女性受けするようなオシャレで可愛いピンクのシートやバスの外観のデザイン
  • 狭いバス内でも、プライベート空間を感じてもらえる為の大きめのフードの設置

上記の様な事をして、現在では女性に支持される高速バス会社となりました。

 

WILLER EXPRESSの強み・特徴

私自身は、バス移動が嫌いな為、当然ながらWILLER EXPRESSも利用したことないので、実際の事は分かりません。その為、全てTVで紹介された情報を元にお伝えいたします。

「WILLER EXPRESS」の強みは、「安さ」と「(値段以上の)サービス」であり、サービス業では、基本ではありますが、もっとも大切な要素で勝負しています。

さて、この「安さ」と「値段以上のサービス」をどのように実現しているのか?

 

安さの秘密「80%越えの乗車率」

普通のバス会社は、「乗車率50%~60%」を目標にしているところ、WILLER EXPRESSのすべてのバスは80%を超える乗車率を達成しているというのです。

この乗車率の高さが安さの一番の秘密になります。ただ、乗車率を高める事は簡単ではありません。この乗車率をどのように実現しているのでしょうか?

 

正確な需要予測

この高い乗車率を達成する為の鍵は、社内にマーケティング担当者40人が在籍していて、全国のイベントを調査(「韓流アイドル」のコンサートの情報や「桜の開花予想」の情報などを見て)、正確な「需要予測」をして、バスの便数を適切に配置している

予約状況に合わせた値段調整

出発日が近いのに、空席が目立っている便は、必要に応じて、値段を段階的に下げていき、空席を埋める対策を実施

提携ホテルの入り口にバス停を設定してもらう

ホテルの入り口にバス停を設置してもらう事で、ホテルの宿泊客に「WILLER EXPRESS」を利用してもらい易くする。

提携ホテルと旅行ツアー企画

提携ホテルと共同で格安の旅行ツアーを企画して、ホテルまでの足は、WILLER EXPRESSの高速バスを利用する事で、乗車率を向上させる

 

安全対策「ドライバーの健康サポート」

サービス業なので、「安さ」や「サービス」は大切ですが、人を運ぶというサービスである以上、何よりも優先される事は「安全」だと思います。

現在の「WILLER EXPRESS」は、この「安全対策」にもかなり力をいれています。

そして、安全にもっとも影響を及ぼすのは、バスを運転する「運転手」の体調や健康になります。

バスの営業所内に宿泊設備

バスの営業所内に宿泊室を整備して、業務が終わったらすぐに休め、業務から業務までの間に、十分な睡眠をとってもらえるように設備を整備。

健康診断の結果でボーナス

健康診断の結果を4段階に分け、ランクが上がるとボーナスを支給する仕組みを導入。

栄養バランスを考えたヘルシーメニュー

営業所内の社員食堂では、従業員の健康を考えたヘルシーメニューが提供される。

営業所に保健師が常駐

保健師が社員と面談をして生活習慣などをアドバイス。

脳ドックなどの定期健診を会社負担で実施

重大な事故の原因となる病気の早期発見にも力を入れ、脳や心臓の定期健診を無料で実施。

 

安全対策2「テクノロジーの力で事故を予防」

WILLER EXPRESSは、運転手の体調や健康管理以外にも、ITなどの力を使って、未然に事故を防ぐ対策も取り入れています。

フィーリズムの導入

フィーリズム(運転手の耳たぶの脈派から眠気の予兆を感知すると振動する機器)を首に掛け、ドライバーに注意喚起させる。

運行管理本部の設置

全てのドライバーのデータをリアルタイムで管理する部署を設置して、ドライバーの眠気を検知すると、本部のモニターにバスの車内のカメラやドライブレコーダーの映像が表示される。

「まっすぐ走っているか?」や「ドライバーに異変はないか?」と言った事をチェックする。そして、状況に応じて、無線で連絡して、休憩を取らせると指示をさせる。

 

「WILLER EXPRESSS」躍進の戦略・ビジネスモデルの紹介まとめ

現在は、高速バスのシェアNo1となった「WILLER EXPRESS」ですが、どちらかといえば、後発の会社だったと思います。

それでも、これだけ多くの人に支持される会社になったのは、今回紹介してきた、緻密な戦略があり、それを実行し続けていたからだと思います。

やはり成功している会社は、その時代に合わせた(その時代が求めている)、まだ誰もやっていない事を陰ながら実践しているんだなぁと勉強になりました。

以上「高速バス「WILLER EXPRESS」躍進の戦略・ビジネスモデルの紹介」をお送りしました。