こんにちは。Webloco代表兼Webマーケターのヤブです。
今回は、私が読んだマーケティング著書「ファンダメンタルズ×テクニカルマーケティング」について、自身の復習(内容を整理)という目的も含めて、内容の紹介や考察を記載していきたいと思います。
Contents
この記事を閲覧する際の注意事項
この記事に記載した内容は、本書を読んだうえで、私の独断と偏見を元に解釈した内容です。
間違って解釈している事など、実際の著者が伝えたいことなどとは違っていることもありますのでご注意ください。
この本のターゲット
著者が考えるターゲットとは違うかもしれませんが、私が読んで感じた印象だと、以下の条件に該当する人がターゲットかなと感じました。
- Webマーケターの方
- ホームページやECサイトを運営している方
- Webマーケターを志している方
- ホームページからのお問い合わせや売上をアップしたい方
この本は、ざっくりどんな内容か?
マーケティングを「ファンダメンタルズ」と「テクニカル」という2つの概念に分けて、具体的な事例をもとに解説しているハウツー本です。
アドバイスも具体的なので、自身の状況に近ければ、そのままマネでき、すぐに実践できるところがこの本の素晴らしい所です。
ファンダメンタルズマーケティング
「自社」、「顧客」、「競合」の事前リサーチをしっかり行い、調査した情報を元に「誰に」「何を」「どう伝えるか」という部分にフォーカスを当てています。
「3C」という昔からあるマーケティングのフレームワークをベースに、それを現代風にアレンジして、説明しています。
テクニカルマーケティング
出稿されたクリエイティブ(バナーやポスターなど)を、顧客の反応(クリック率やコンバージョン率etc)を元にチューニングしていく際の判断基準や方法、注意すべき点などを紹介しています。
こちらが、今でいう一般的なWebマーケティングの領域にあたります。
以下にこれらの内容をもう少し詳しく紹介したいと思います。
ファンダメンタルズマーケティング
ファンダメンタルズは、対象となる商品やサービスの基本的な情報や、それに関連する要因を調査して、それをベースに戦略を組み立てます。
事前リサーチ
事前リサーチで大切な事は、ゴールを決めておくことです。
そのゴールとは、「自分の言葉で、その商品の魅力を他人に説明して、買いたいと思わせる」ことが出来るようになる事です。
そして、事前リサーチでリサーチする対象は、大きく3つです。
- カスタマー(顧客)
- コンペティター(競合)
- カンパニー(自社)
カスタマー(顧客)の調査
調査方法は、以下の様に、ユーザーインタビューなどの「定性調査」やアンケートなどの「定量調査」がありますが、どちらも重要です。
- ユーザーインタビュー
- 行動観察
- ユーザーアンケート
- SNSやレビュー調査
「定性調査」の場合、ユーザーインタビューの中でもデプスインタビュー(1対1)やグループインタビューなどがありますが、デプスインタビューをおススメしています。
グループインタビューだと、周りの目を気にして、よそ行きの意見が出る可能性があるからです。
そして、ユーザーインタビューで意識する事は、ユーザーの「キーワードとインサイト」の2つを把握する事です。
コンペティター(競合)の調査
まず、「競合」の調査をする前に、「競合」は誰か?をしっかり認識する必要があります。
仮に、自分が「カフェ」を経営していたら、近隣の「カフェ」だけが競合だと考えるのは、安直かもしれません。
もちろん、近隣の「カフェ」は競合になりますが、それ以外にも、コンビニや自動販売機も競合になるかもしれません。
その為、競合を認識するには、「自社目線」ではなく、「ユーザー目線」が必要になります。
「自社目線」だと、どうしても自社が所属している業界などのカテゴリー内の「競合」ばかりに目が行きがちですが、「ユーザー目線」で考えると、もっと別の「競合」が見えてきます。
「競合」が見えてきたら、「競合」と比較して、自社が勝っている部分を見つけていきます。
カンパニー(自社)の調査
自分自身が商品やサービスの開発者なら、商品やサービスを企画開発していた頃に立ち返り、自問自答してみると良いでしょう。
仮にに、商品やサービスの企画、開発者が別の人なら、その人にヒアリングする事が重要です。
ただ、この時、商品開発者の情報だけを頼りにするのでなく、一度自分の中に落とし込み、疑問に思う事は、インターネットで調べたり、専門家に聞くなどして、商品の「売り」を自分の中で再構築する必要があります。
「誰に」「何を」「どう伝えるか」
「誰に」伝えるか?
「誰=ターゲット」を決めるには、「ユーザー起点」と「商品起点」2つの要素から設定する事が重要です。
ユーザー起点とはユーザーニーズの強さ別に設定する事とも言えます。
例として、ニーズが弱い順に、「必要性に気付いていない」<(略)<「必要性に気付いているが、行動はしていない」<(略)<「すでに購入した」<「購入して満足している」と言った感じで分ける事で、伝えるメッセージは変わってきます。
次に、商品起点の設定では、弱い順に「その商品を知らない」<「知っているが興味はない」<(略)<「興味はあるが、購入した事はない」<(略)<「購入したし、満足している」と言った具合に設定していきます。
上記で設定したターゲットすべてを対象にすると、ボリュームは増えますが、それだけ多くのリソースが掛かります。
その為、戦略的にターゲットを広げるか、絞るかを考えて、設定する必要があります。
「何を」伝えるか?
「何を」伝えるかは、設定したターゲットによって変わります。
ただ、どのターゲットに伝えるにしても、「USP(Unique Selling Proposition)=商品やサービスが持っている独自の強み」をメッセージの核に据える必要があります。
その為、USPに関しては、事前リサーチの段階で、ある程度構築しておく必要があります。
中には、「うちにはUSPが無い」という方もいるかもしれません。そういう場合は、次に紹介する「どう伝えるか」をより頑張る必要があります。
「どう」伝えるか?
「USP」がしっかりしていれば、ストレートに伝えるのが良いですが、「USP」が弱かったり、そもそも「USP」ない場合は、伝え方に工夫をする必要があります。
まず、伝える時に意識するのは、「商品起点」ではなく「ユーザー起点」で伝えるという事です。
「商品起点」では、どうしても「商品の特徴」を伝えがちですが「ユーザー起点」は、その商品を購入して使う事で、「こんな良い事があります」「こんな素敵な体験が出来ます」という伝え方になり、ユーザーに伝わりやすくなります。
次に、クリエイティブ(広告バナー、CMなど)を掲載するメディアの特性を見極めるのも重要です。
掲載するメディアによって、それを閲覧するターゲットも違うため、同じクリエイティブでも反応は大きく違います。その為、掲載するメディアの特性に合わせて、クリエイティブを変える必要があります。
「LP」や「メール」で伝える場合は、以下の5つの王道フォーマットで伝える
- 1.結論:例「〇〇も大満足の商品が新登場」
- 2.否定:例「他の商品と大して変わらないんじゃない」
- 3.肯定:例「それが、これまでとは、10倍違うんです」
- 4.自分の意見:例「騙されて使ってみたら想像以上でした」
- 5.煽り:「残りあと50個。今すぐあなたの目でお確かめください」
その他伝え方のテクニックとして、以下の方法があります。
- 最初の1文に全力を注ぐ
- 伝えたいことは、最初に伝える
- マイクロコピー(「カートに入れる」などの文言)にこだわる
- ユーザーの体験談を使う
テクニカルマーケティング
テクニカルマーケティングとは、データを元に判断して、クリエイティブをチューニングしたり、広告を出稿したりするマーケティング手法です。
また、クリエイティブのチューニングには、他社のうまく行った方法を取り入れる「着眼法」と、自社のうまく行っていない箇所を改善する「苦情法」の2種類があります。
「着眼法」
着眼法のポイント
着眼法を利用する際、他者のうまく行った方法を、表面的にマネするのではなく、うまく行った理由を分析して、自社に当てはめて利用する事が重要です。
他者広告を分析するポイント
他者広告を分析する為のポイントは以下の3つがあります。
- なぜこの広告に目が留まったか
- なぜこの広告を読もうと思ったか
- なぜこの広告をクリックしようと思ったか
これらのポイントを自分で考え、自社に当てはまるものは、取り入れる価値があります。
どんなクリエイティブを参考にするべきか
ポイントは、「成果が出ていること」と「成果が出ている理由が分かっていること」の2つです。
「成果がでていること」のみで判断して参考にすると、失敗の可能性が高くなります。
「苦情法」
ABテストで改善する
苦情法の代表的な方法として「ABテスト」があります。
ABテストは、2種類以上の違うクリエイティブを出して、どちらがより多くクリックされるか?などを計測するテストの事です。
ABテストの注意点1
ABテストをする際は、「何を言うか」と「どう言うか」は、別々にテストする必要があります。
そうしないと、正確なテスト結果が得られなくなります。
ABテストの注意点2
また、テストのパターンを選ぶ際、数種類の候補中から2パターン選ぶのではなく、出来るだけ沢山の候補を洗い出し、その中から数種類に厳選して、ABテストを行う様にしましょう。
候補が少ないと、低レベルなクリエイティブの比較になってしまい、良い方を選んでも、効果が期待できないという結果になりかねません。
AB-Xテストのススメ
ABテストは、テストパターンの中で反応が良かったものを「正解」とするものですが、「注意点2」でもお伝えした通り、テストするすべてのクリエイティブのクオリティが低い場合、どれを選んでも「正解」ではないという事もありえます。
そこで、著者は「AB-Xテスト」というのを推奨しています。これは、ABテストの結果、どれも理想の基準に達しない場合、これまでのクリエイティブのアイデアは捨てて、新たに、XYを作り、再テストするという事です。
その為には、基準となる目標値(ゴール)を設定する必要があります。
クリエイティブ制作のマインド
ABテスト用のクリエイティブを複数作成する時、「誰かには刺さるだろう」「どれかは目標値を達成するだろう」という気持ちで作成すると、結局は誰にも刺さらないクリエイティブになります。
その為、クリエイティブを作成するときは、全て目標値を超えてやるという気持ちが必要です。
チューニングについて
チューニングの判断基準
広告を出稿してある程度経過すると、チューニング(調整)が必要になってきます。
チューニングをするかどうかの判断基準は、目標と現実のギャップが小さくて、チューニングで改善できそうならチューニングをするという判断がベターです。
ただ、目標と現実に大きなギャップ(2倍、3倍以上)がある状態で、それを実現する方法が思いつかない、もしくはとても難しい場合は、チューニングではなく、このクリエイティブは一旦破棄して、1から練り直した方が良いかもしれません。
LPのチューニングで気を付ける事
一般的に、広告をクリックさせて、LP(ランディンページ)に飛ばして、そこからコンバージョンさせるという流れですが、LPの分析データだけを見て、そのLPの良し悪しを判断するのは間違いです。
何故なら、LPの前の広告との相性によって、LPのデータは変わってくるからです。
その為、数値を見る際は、数値だけでなく、対象のクリエイティブと、その前工程のクリエイティブを見てから数値を見る必要があります。
データを分析するときの正しい手順
数値だけを見ると間違った判断をする可能性が高い為、以下の様な手順で分析する
- 1.クリエイティブを見る
- 2.仮説を立てる
- 3.データで仮説の検証をする
- 4.仮説では出てこなかった課題をデータから見つける
「プロのWebマーケター」とは?
「デジタルオペレーター」にはなるな
著者の言う「デジタルオペレーター」とは、データ(数値)だけを見て、どうしてそうなったか、その背景などを考えず、判断、行動するアマチュアのWebマーケターを、そのように揶揄しています。
その反対に、データ(数値)を見るのは当然の事、なぜそういう数値が現れたか?そういう結果になったかなどを考え、仮説を立てて、そこから施策を打つことが出来る人材の事を、「プロのWebマーケター」と言っています。
その為には、データの読解力を身につける必要があります。
データの読解力とは?
「データ」から「ユーザーの行動パターン」を見つけ、その背景を理解できる能力が「データの読解力」です。
データの読解力を身につけるには、「データ」を元に、仮説を立て、問題意識を持った状態で、ユーザーの行動を観察したり、ユーザに直接話を聞いくことが効果的です。
これを身につける事により、単なる「デジタルオペレーター」ではなく、「プロのWebマーケター」として、高い確率で販促につなげる事ができます。
以上『著書「ファンダメンタルズ×テクニカルマーケティング」の備忘録』をお送りしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。