マーケティングオートメーションを内製化する時に意識する6つのハードル


こんにちは。Webloco代表兼Webマーケターのヤブです。

コストを抑える為、出来るだけ外部の力を借りず、社内の人材だけでマーケティングオートメーション(MA)の導入・運用を成功させたいと考える経営者や責任者はいらっしゃると思います。

この記事では、もしすべてを社内で完結させたい場合、意識しなければいけないハードルを紹介したいと思います。

 

意識しなければいけない6つのハードル

MAの導入目的によりハードルの数や高さは変わりますが、MAツールをしっかり活用する事を前提にした場合、大きく分けると下記の6つのハードルがあります。

  • リードを獲得する手段、方法の確立
  • リードデータマネジメント(名寄せ方法およびルール設定)
  • リード育成のシナリオ設計
  • 各シナリオに合わせたコンテンツ(メールも含む)の作成
  • リードのスコアリング設計(ポイント加算のルール設定)
  • 設計のチューニング(最適化)

それでは、こののハードルを少しだけ詳しく解説します。

 

1.リード(見込み客情報)を獲得する手段、方法

MAは、見込み客のリストが無ければ、テナントの入居していないショッピングモール、アプリの入っていないパソコンと同じです。

その為、どこからでもいいので、見込み客の情報を獲得する必要があります。(既に見込み客リストが大量にある場合は、それを利用する事が出来ます。)

多くの場合、自社が運営するホームページのお問い合わせフォームや、PDFの資料ダウンロード時にメールアドレスを入力してもらったり、メルマガ登録してもらう事で獲得します。

現在ホームページをお持ちのお客様は分かると思いますが、1カ月にどれくらいの登録やお問い合わせがあるか考えてみると良いでしょう。

また、見込み客情報は、Webからでなくてもリアルで獲得する事も可能だと思います。「交流会(名刺交換)」「展示会」など

Webとリアルの両方を足して、月に新規で何件程度の見込み客があるか考えてみて、その見込み客のフォローに営業マンなどがアップアップしている様なら導入を検討しても良いかもしれません。

まだ全然余裕がある状態なら、もっと沢山の見込み客を集める方法を確立するまでは、MAの導入を保留にした方が良いかも知れません。

リードの獲得数は多いに越したことはありませんが、最低でも何件以上必要かは、会社の売上規模、社員数や客単価、利益率などによりかなり変わってきますので一概には言えません。

 

2.リードのデータマネジメント(名寄せ方法およびルール設定)

MAを運用していく上で難しいのは、獲得した顧客情報の名寄せです。

名寄せとは、会社名や会社の担当者データの内、重複しているデータを統合する事を言います。多くは「表記ゆれ」により起こります。

これらのリード情報の管理を総じて「データマネジメント」と言われています。

例えば、「トヨタ自動車」や「トヨタ」、「TOYOTA」は、全て同じ会社ですが、会社名を名寄せのKEYにした場合、同じ会社でも、3つの顧客データが存在してしまう事になります。

これでは、顧客情報を上手く管理・運用する事は出来ません。

また、MAツールの中には、IPアドレスをKEYに名寄せしたり、メールアドレスをKEYに名寄せする物もあり、ツールの仕様により、調整する必要があります。

これ以上詳しく解説しなくても、名寄せの大切さと、大変さがお分かりかと思います。

 

3.リード育成のシナリオ設計

MAは、有効な見込み客を獲得・育成する為のプロセスを自動化する仕組みです。

その為、いろんな事を自動でやってくれると思う方がいらっしゃいますが、自動化の設計は、人が考えて設定してやる必要があります。将来的には、AI(人工知能)を連動して、自動的に設計もやってくれるかもしれませんが。

以下はシナリオ設計の1例です。

  • 獲得した顧客情報が〇〇の業界だった場合、〇〇業界に役立つ情報をメールで送る
  • 獲得した顧客情報が△△の業界だった場合、△△業界に役立つ情報をメールで送る
  • 送ったメールを見てくれた顧客には、1週間後に、□□の情報を送る
  • 送ったメールを見てくれない顧客には、1週間後に、▲▲の情報を送る

上記は、ほんの一例ですが、これらのシナリオを、いろいろな状況に合わせて、何パターン、何十パターンを作成する必要があります。

ただ、シナリオを設計するだけじゃなく、マーケティングの観点から、どういう顧客に、どういうアプローチをしたら、興味を持ってもらえるだろうかと言った事も考えなければなりません。

その為には、ペルソナ設定、カスタマージャーニーマップの作成と言う事も考慮する必要があります。

 

4.各シナリオに合わせたコンテンツの作成

シナリオの数、見込み客との接点の数だけコンテンツが必要です。

仮にシナリオが5個あったとして、各シナリオ別にユーザーと5回の接点があった場合、接点毎に、合計25個のコンテンツが必要となります。(重複している場合もあるかもしれませんが)

次に、作成したコンテンツを、どういった媒体(メディア)でリードに届けるかを考える必要があります。

  • メール
  • Webページ
  • カタログ・パンフレット(PDF・紙)
  • 動画(Youtubeなど)
  • セミナー・展示会

最低でも1コンテンツに対して、1媒体は必要ですので、複数の媒体に対応させる場合は、その分コストが発生します。

 

5.リードのスコアリング(ポイント加減のルール設定)

多くのMAツールでは、獲得した顧客に対して、ポイントを付与する事が出来、そのポイントが高いほど、優良顧客となるのですが、このポイントの加減のルール設定がとても難しいです。

例えば、メルマガに登録した顧客は、自社の商品やサービスに興味があると言う事で、50ポイントを付与するとします。

その後、定期的に送られるメールを毎回見てくれる顧客は、30ポイント付与するが、送ってもメールを開いてくれない顧客は、どうしたら良いか?

ポイントを減算した方が良いのか?もしくは、何もしないのか?

一番考えなければいけないのは、競合他社の顧客情報はどうするかです。なぜなら、競合他社の担当者ほど、他社の事を熱心に勉強します。

多くの場合、こういう顧客リスト(実際は競合他社)のポイントは高くなります。

そうすると、極端な話ですが、優良顧客と思われていた顧客リストの多くが、競合他社のリストで、自社の顧客にならない、使い物にならない顧客リストになっているかもしれません。

 

6.1~5のチューニング(調整、最適化)

上記1~5は、MAの基本設計。いわば導入プロセスに入ります。もっとも大切なのは、導入後の運用になり、チューニングの作業です。

最初の設計が完璧と言う事はほとんどありませんので、運用をしていく中で、間違っていたところを調整していき、最適化します。

この作業がもっとも難易度が高い為、このポジションには、マーケティングの知識を要している高度な人材が必要となります。社内にそんな人材がいない場合、育成も兼ねて、使いながら勉強していく事は可能だと思います。

ただ、本当の意味で、利益を上げられるまで使いこなせるようになるには、それなりの時間と辛抱が必要だと思います。

 

マーケティング・オートメーション(MA)内製化のまとめ

この記事で一番伝えたい事は、あまりマーケティングのノウハウが無い企業(もしくは人材がいない企業)が、「コストが抑えられるから」「効率化を期待して」と言う理由で、いきなり「内製化」と言う事は、かなり難しいかもしれません。

逆に、このハードルを越えた企業には、期待以上の効果が見込めるかも知れません。

おそらく、将来的期には、このMAの内製化で成功した企業と、それ以外の企業とで、大きな格差が生まれるかもしれません。

 


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