「データドリブンマーケティング・その2」何から始めるべきか?


最初の記事「データ・ドリブン・マーケティング・その1(成果をトラッキングする事の大切さ)」はこちら。

第2章「何から始めるべきか?」について

今回は、書籍「データドリブンマーケティングの」の第2章に掲載されていた内容をご紹介します。

章の最初に、データドリブンマーケティングには、乗り越えなければいけないの五つの障壁がある事を訴え、その障壁を紹介していました。

その障壁は、以下の5つです。

  • 何から手をつければ良いのか分からない
  • 因果関係が不明(短期的には結果が出ないものがあったり、外部要因の影響など)
  • データ不足
  • 経営資源や ツール が不足
  • 組織や人の問題

上記の障壁について、さらに詳しく説明していきます。

 

どう始めて良いのか分からない障壁

この障壁に関して著者は、簡単なデータから初めてクイック・ウィンを作る事だと述べています。

それを実現する為の対策として、本書では下記の様に述べられています。

まずは重要性の高いデータを入手することに集中しよう。

80%の成果をもたらしそうな20%のデータとは何であるかを見極め そこから始めるのだ。

この分野でも「80:20の法則(パレートの法則)」を利用して、出来るだけ低コストで始め、そして早く結果を出す事の重要性を説いています。

そして、早い段階で成果を上げる事で、経営層の支持を勝ち取る事ができ、次のステージへ進むことができます。

 

因果関係不明の障壁

何が効果を生んでいるか分からない

これを乗り越えるには、「小さな実験を通じて因果関係を検証する」と言う事を述べています。

複数同時並行でマーケティング活動が行われていると、何が効果を生んで、何が生んでいないかが分からなくなります。

この問題を解決するには、小規模な実験を行い、他の要因の効果を切り分ける事で、何が効果を生んで、何が効果を生んでいないかを明らかにできます。

 

効果が出るまでに時間がかかる活動

もうひとつ、因果関係についてよく問題となるのは、認知度向上やブランディングのようなマーケティング活動と、実際の購買との間に大きな時間差がある事です。

この場合、直ぐに売上と言った指標に結びつかない為、その活動を評価する為には、先行指標となる別の指標や尺度を使う必要があります。

そして、その事を経営陣や幹部などにしっかり説明する事が必要だと述べています。

 

データ不足の障壁

BtoC企業に関しては、直接ユーザーからデータを取得出来る為、データ不足に陥る事は少ないと思いますが、BtoB企業では、実際にデータ不測になる事が多いはずです。

著者は、このBtoB企業向けに、データ不測の課題を解決する方策を紹介していました。

1.販売パートナーとのデータ共有

メーカーの場合、販売代理店で商品を販売してもらうと、顧客データは販売代理店に溜まるだけで、データはメーカーまで入ってこない事があります。

そして、販売代理店にとっても、この顧客データは財産になるため、メーカーには渡したくないところも多いと思います。

そこで、販売代理店と契約する段階で、条件の中に、「顧客データの共有」を入れるという対策が取れる。

仮に、既に関係や契約が出来上がっている場合、粘り強く交渉する事で、データの共有が可能になる場合があります、

ただ、その場合、「データを共有することで、どのようなメリットがあるか?」と言う事を、販売代理店にしっかり説明する必要があるという事を述べています。

 

2.高頻度飲用者プログラム

ある日本のビール会社は、高頻度飲用者向けのWebサイトを立ち上げる事で、最終消費者(エンドユーザー)データを取得する事に成功しました。

そのWebサイトは、容器に記載されてるコードを入力して、ビール消費量を報告すると、ポイントを得られるキャンペーン・Webサイトであった。

消費者は、獲得したポイントを使って、ブランドのジャンパーや名前入りのビールの王冠などと交換する事が出来ます。

この日本ビール会社は、高頻度飲用者のボリュームを把握出来ただけでなく、その優良消費者と直接コンタクトできる事が可能となった。

 

3.調査結果を顧客データの代用として使用する

大量のデータを取得するには、かなりのコストと時間が掛かる為、グループインタビューや定量調査などを使って、セグメンテーションやターゲティングを行うやり方があります。

プロの調査会社に依頼すると、かなり割高になる事が予想されるので、著者は、無料の昼食とちょっとしたギフトを対象者に提供するだけで、低コストで始められるかもしれないと紹介しています。

また、インターネットのアンケートサービスなどを使う事で、低コストでより多くのデータを集める事も可能となります。

 

経営資源やITリソース・ツール不足の障壁

規模が小さい企業や顧客データが数千件程度と少ない場合は、特に高価なITツールを取り入れなくても、エクセルで十分「データドリブンマーケティング」は可能です。

ただ、数百万、数千万にも及ぶデータベースを扱う場合、それに見合ったパワフルなITインフラの導入が必要になります。

基本的には、顧客数や企業と顧客の接点の多さに影響されるデータサイズと、データを使って何をしたいかが、ITインフラを選ぶ基準となるでしょう。

そして、出来るだけ小さく始める事を推奨している著者は、最初は小さく初めて、状況に応じてスケール拡大出来ることを考慮したインフラを選ぶ事が良いと述べています。

 

組織と人の障壁

変化を嫌う人をどう説得するか?

変化を嫌う人、受け入れたくない人は、組織の中に一定数います。特に、会社の経営幹部、役員など、担当者の上司にあたる人に多い様に思います。

小さい組織の場合は、上司を説得して、結果を示すことが出来れば比較的スムーズに出来るかもしれませんが、大きな組織の場合は、とても大変な事です。

こんな状況の中で、「データ・ドリブン・マーケティング」を企業文化に根付かせるには、組織の中で、自分と同じような考えの同志を、4、5人みつけチームを組んで、小さな成功を実現するところから始める事が必要です。

 

スキル不足を克服するには?

データ・ドリブン・マーケティングの実践には、高度なマーケティングスキルが必要です。このスキルを身に付けるためには、きちんとしたトレーニングが必要です。

その為、研修予算を確保して、定期的にトレーニングや研修を実施する必要があること。時には、有名な外部の講師を呼んで、講演してもらう事も有効です。

そして、面白のみのない表面的な説明ではなく、活気のあるグループワークを行う事で、参加者がデータドリブンマーケティングについて、ワクワク感じる様にさせてみましょう。

 

トップダウンとボトムアップ

現場のマーケティング担当者たちが、適切なスキルやツールを活かす事で、短期的には成功する事が出来るかもしれません。

ただ、大きな組織の組織文化時代を変革することは、完全なボトムアップでは実現できないかもしれません。

その為、企業分化レベルで、データドリブンマーケティングを根付かせるには、経営幹部による強いリーダーシップが不可欠になります。

経営幹部を動かすた為に、より優れたマーケティングを、より安く、素早く行える事を示すデータを提示して、自分と考えの似た幹部層を集めて、説得する事が必要です。

 

以上「データ・ドリブン・マーケティング・その2」何から始めるべきか?をご紹介しました。